【レビュー】 ATRI ―My Dear Moments― 【ネタバレなし】

作品名:ATRI ―My Dear Moments―
ブランド:ANIPLEX.EXE(公式サイト)
制作:フロントウイング × 枕
販売日:2020年06月19日
販売ページ:DLsite/STEAM
イラスト:ゆさの(@yusano)/基4(@moto4_koinu)
シナリオ:紺野アスタ(@asta_konno)
プレイ時間:8-9時間
対応言語:日本語/英語/簡体字/繫体字
備考:全年齢向け/修正パッチあり
評価:★★★★☆4.5/5.0
◆STORY
原因不明の海面上昇によって、地表の多くが海に沈んだ近未来。
幼い頃の事故によって片足を失った少年・斑鳩(いかるが)夏生(なつき)は、
都市での暮らしに見切りを付け、海辺の田舎町へと移り住んだ。
身よりのない彼に遺されたのは、
海洋地質学者だった祖母の船と潜水艇、そして借金。
夏生は“失った未来”を取り戻すため、謎の借金取り・キャサリンと共に、
祖母の遺産が眠るという海底の倉庫を目指して潜る。
そこで見つけたのは、
棺のような装置の中で眠る不思議な少女――アトリ。
彼女は、人間と見紛うほどに精巧で感情豊かなロボットだった。
海底からサルベージされたアトリは言う。
「マスターが残した最後の命令を果たしたいんです。
それまで、わたしが夏生さんの足になります!」
海に沈みゆく穏やかな町で、
少年とロボットの少女の、忘れられない夏が始まる――。
レビュー
ロープライスゲームの完成形を示してくれた作品でした。アトリちゃん可愛い!から物語を動かすのが上手くて最後まで飽きずに楽しめました。「地表の多くが海に沈んだ世界で未来を失った少年と感情豊かな少女が出会う」ってストーリーも好みだし、作中では表情&感情豊かなロボット少女という設定を守って表情差分が多いのも良かったです。
はじめは「18禁じゃないのか~」と残念に思いましたが、物語を読み終えた今は全年齢で正解だったと思います。ノベルゲームで18禁要素がノイズになるのはよく聞く話で、ATRIもそのタイプです。余計な話やルートを挟まずにどこを取っても繋がりが見えるシナリオで、全年齢ロープライスゲームを高いレベルで完成させていました。アダルト要素を入れるCGを裂くより、フルプライスにして他ルートを挟むより、今のシナリオ一本の方が収まりが良いと思います。
シナリオはアトリちゃんの可愛さもさることながら、特に畳み方が良かったです。中途半端なところで終わるでもなく、ふんわりとした良い感じの話で終わるでもなく完走してくれました。最後まで書ききってくれるシナリオなので、読み終えたときの「終わったー!」は満足度が高いです。綺麗なCGに可愛い声、場面に馴染むBGMとともにアンドロイドものの王道シナリオを楽しめました。
ここまで褒めてきた「ATRI」ですが、唯一惜しかった点はBADエンドの出し方です。
BADエンドとGOODエンドの両方を見るとTRUEエンドが開放されますが、分岐選択肢が分かりやすいため、何も知らずにクリアしようとすると「GOOD→BAD→TRUE」の順番になります。TRUEエンドはGOODエンド後を書いているので、BADエンドを通過させるなら選択肢制限を付けて「BAD→GOOD→TRUE」の順番に固定した方が自然でした。プレイヤーの心情的にもこちらの方がより良い終わりを迎えられたと思います。それか、BADエンドはバッサリ切り落としても良かったです。
レビューを読んでATRIをプレイするぞ!と思った方は攻略サイトを見ながら「BAD→GOOD→TRUE」の順番で読み進めることをおすすめします。
まとめ
18禁ゲーム好きな私が改心しておすすめしたい全年齢ゲームでした。正直これで2,000円は安いです。最後までアトリちゃん可愛い!で引っ張って行ってくれるゲームなので、アトリちゃんが可愛い!と思った方はおすすめです。密度の濃い8-10時間を過ごせるので連休の娯楽にちょうど良さそうです。アトリちゃんは本編で抱き枕にもなってくれるので抱き枕カバーも期待してます!
片足を失った少年に「わたしが足になります!」って言ってくれるロボット少女、エモエモじゃない???